日常生活では、どんな店屋の主人でもしごくあたりまえに、ある人が自分がこうだと称する人柄と、その人が実際にどういう人であるのかということを区別することぐらいはできるのに、わが歴史記述ときては、まだこんなありふれた認識にさえも達していないのである。それは、あらゆる時代を、その時代が自分自身について語り、思い描いた言葉どおりに信じ込んでいるのである。 『ドイツ・イデオロギー』
070619
■ [keywords][definition] 定義・目下の清書

27.1926年の奴隷条約において最初の包括的な奴隷制の定義が明記され、その定義は現在も広く認められている1926年の奴隷条約に基づけば、「奴隷制」とは所有権を付随する全てないしは一部の権力が、一個人に対して行使されている状況もしくは状態であると解釈するべきであり、強姦などの性暴力の形態による性的接触を含む。27.1926年の奴隷条約において最初の包括的な奴隷制の定義が明記され、その定義は現在も広く認められている。1926年の奴隷条約を引用すれば、『「奴隷制」とは、所有権を伴う権力の一部もしくは全部が一個人に対して行使されている状況もしくは状態である』(訳注*)と解釈するべきであり、強姦などの性暴力の形態による性的接触を含む。
- 訳注* 1926 Slavery Convention (http://www.ohchr.org/english/law/slavery.htm) Article 1 (1) Slavery is the status or condition of a person over whom any or all of the powers attaching to the right of ownership are exercised.
28.条約法に加え、奴隷制の禁止は国際習慣法上でも強行規範(訳注*)である。奴隷制という犯罪において、政府の関与もしくは国家の行為は必須ではなく、それを成したのが公人であろうが私人であろうが、それは国際犯罪である。さらに、奴隷制においては一個人を所有物として取り扱うことが必須だが、一個人が売買ないしは人身取引されていないという事実をもって無効となることは決してない。28.条約法に加え、奴隷制の禁止は慣習国際法上でも強行規範(訳注*)である。奴隷制という犯罪において、政府の関与もしくは国家の行為は必須ではない。それを成したのが公人であろうが私人であろうが、奴隷制という犯罪は国際犯罪である。さらに、奴隷制においては一個人を所有物として取り扱うことが必須だが、一個人が売買ないしは人身取引されていないという事実をもって無効となることは決してない。
29.奴隷制の定義に暗示されているのは、自律の制限、移動の自由、および個人が自分の性的行為に関する事柄を決定するにあったっての権利行使に関する概念である[M. Cherif Bassiouni,"Enslavement as an International Crime", New York University Journal of International Law and Politics vol. 23 (1991) p. 458.]。 奴隷である状態から、危害が加えられるリスクを負いつつ個人が自発的に逃れることが可能である場合であっても、それが奴隷であるという主張を無効化する状況であると解釈すべきではない。 また、すべての事例において、隷属下にある一個人が当然持つであろう危害に対する恐怖もしくは強制下にあることの認識は、主観的分析およびジェンダーを意識した分析によって検討されなければならない。被害者が、国内紛争か国際紛争かに関わらず、武力紛争中の戦闘地域にいた場合、また、敵対集団もしくは敵対派閥の一員として認識されている場合は、このこと(訳注*)は特に該当する29.自律権の制限、移動の自由権の制限、および個人の性的活動に対する自己決定権の制限に関わる概念は、奴隷制の定義に含意されている。[M. Cherif Bassiouni,"Enslavement as an International Crime", New York University Journal of International Law and Politics vol. 23 (1991) p. 458.]。 個人が、危害を加えられる多大な危険を賭して奴隷状態から逃れることが可能であったとしても、逃れることが可能であったことのみをもって、奴隷状態であったという申し立てが無効になると解釈すべきでない。また、すべての事例において、隷属下にある一個人が当然持つであろう危害に対する恐怖もしくは強制下にあることの認識は、主観的分析およびジェンダーを意識した分析によって検討されなければならない。被害者が、国内紛争か国際紛争かに関わらず、武力紛争中の戦闘地域にいた場合、また、敵対集団もしくは敵対派閥の一員として認識されている場合は、このこと(訳注*)は特に該当する。
- 訳注* 前文で述べられている内容、性奴隷の主観的な証言や性的行為にたいする証言は、強制や暴力に対する当然の恐怖を表していること。
30.本報告書では、「性的(sexual)」という用語を奴隷制の一形態を説明するための形容詞として使っており、一個の独立した犯罪として名称を与えるための形容詞ではない。あらゆる観点からみても、あらゆる状況においても、性奴隷制は奴隷制度であり、奴隷制度の禁止は強行規範である。第二次世界大戦中に旧日本軍が管理維持した『慰安所』(付属文書(appendix)参照)や、旧ユーゴスラビアで明確に立証されている『レイプ収容所』(例、ICTFY, Indictment of Gagovic and Others, case IT-96-23-I (26 June 1996)参照、以降フォカ事件と記す)は、性奴隷制の極めて悪質な例である。また、性奴隷制は成人女性や少女に対する強制的な「婚姻」、家庭内労働などの結局のところ捕獲者によるレイプをも含む強制的な性的活動を伴う強制労働の状況を網羅するものである。30.本報告書では、「性的(sexual)」という用語を奴隷制の一形態を説明するための形容詞として使っており、一個の独立した犯罪として名称を与えるための形容詞ではない。あらゆる観点からみても、あらゆる状況においても、性奴隷制は奴隷制度であり、奴隷制度の禁止は強行規範である。第二次世界大戦中に旧日本軍が管理維持した『慰安所』(付属文書(appendix)参照)や、旧ユーゴスラビアで明確に立証されている『レイプ収容所』(例、ICTFY, Indictment of Gagovic and Others, case IT-96-23-I (26 June 1996)参照、以降フォカ事件と記す)は、性奴隷制の極めて悪質な例である。また、性奴隷制は成人女性や少女に対する強制的な「婚姻」、家庭内労働、あるいは強制労働など、捕獲者によるレイプを含み結局のところ強制的な性活動に至る状況を網羅するものである。
(以下略)
31.また、性奴隷制はすべてではないが、ほとんどの形式の強制売春をも網羅するものである。『強制売春(forced prostitution もしくは enforced prostitution)』(訳注*)という用語は、種々の国際的人道法に出てくるが、その理解は不十分であり、適用にも一貫性がない。一般的に『強制売春』は、他人によって強制的に性的活動に従事させられた個人が支配下にある状況を意味することが多い。
31.また、性奴隷制はすべてではないが、ほとんどの形態の強制売春をも網羅するものである。『強制売春(forced prostitution = enforced prostitution)』という用語は、種々の国際的人道法に出てくるが、その理解は不十分であり、適用にも一貫性がない。一般的に『強制売春』は、他人によって強制的に性的活動に従事させられた個人が支配下にある状況を意味することが多い。
32.旧来の強制売春の定義には、女性の「名誉」に対する「不道徳な」攻撃という曖昧な言葉で焦点を当てたものと、奴隷制の状況をより正確に説明しているであろう定義とほぼ差異がないものがある。このような制約はあるものの、ジュネーブ条約とその追加議定書において強制売春は明らかに犯罪とされており、武力紛争の状況下での性的暴力を今後告発するための、制約はあるが依然として有力な代替手段である。32.旧来の強制売春の定義には、女性の「名誉」に対する「不道徳な」攻撃という曖昧な言葉で焦点を当てたものと、奴隷制の状況をより正確に説明しているであろう定義とほぼ差異がないものがある。このような制約はあるものの、ジュネーヴ諸条約及び追加議定書において強制売春は明らかに犯罪とされており、武力紛争の状況下での性的暴力を今後告発するための、制約はあるが依然として有力な代替手段である。
33.一般原則として、武力紛争の状況下での強制売春と説明しうる事実関係のほとんどが、実のところは性奴隷制と同然であり、奴隷制としてそれを特徴づけ告発するほうが、より的確かつより容易であると思われる。
1.「引用のとおりに」か「基づけば」か
1926 Slavery Convention
http://www.ohchr.org/english/law/slavery.htm
>Article 1
>(1) Slavery is the status or condition of a person over whom any or all of the powers attaching to the right of ownership >are exercised.
上記引用のように、1926年の奴隷条約の条文をそのまま持ってきていますので、「引用のとおり」もしくは「引用すると」など、「引用」したことを訳語に入れたほうがいいと考えます。
2.「一個人に対して」
わたしのミスです。了解しました。
3.「全てないし一部の」か「一部もしくは全部」か
any or all の語順と訳語の統一性を考量すると、「一部もしくは全部」のほうがより適切だと考えます。
any or all の訳語の位置に関しては、「付随する権力」を重視する場合、私の訳出した位置がより適切だと考えます。しかし、その場合に、日本語としては違和感を感じる方も多いと思うので、さらに検討すべきだと考えます。
kmiuraさんへ、
不躾、無礼とも言える文章ですが、こんな感じで指摘や主張したほうがいいと思い、必要以上の気遣いを省きました。一方で、他の方も読んでおられることを念頭にしたら、もう少し丁寧な語調のほうがいいかなと少しだけ思います。ご意見お聞かせ下さい。
27.1926年の奴隷条約において最初の包括的な奴隷制の定義が明記され、その定義は現在も広く認められている。1926年の奴隷条約を引用すれば、『「奴隷制」とは、所有権を伴う権力の一部もしくは全部が一個人に対して行使されている状況もしくは状態である』(訳注*)と解釈するべきであり、強姦などの性暴力の形態による性的接触を含む。
訳注* 1926 Slavery Convention (http://www.ohchr.org/english/law/slavery.htm) Article 1 (1) Slavery is the status or condition of a person over whom any or all of the powers attaching to the right of ownership are exercised.
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コメント欄でのやりとりについてですが、あまり格式張る必要はないと思います。気楽に、しかし作業は丁寧に、ということで。
*28項の訳出に関して
1.「条約法に加え、」 了解
2.「(奴隷制という犯罪)においては」 了解
3.「それを成したのが公人であろうが私人であろうが」了解
4.「それは国際犯罪である」
「それ」が2回続くので、「奴隷制という犯罪は国際犯罪である」のほうがより明瞭かとも思います。
5.「(奴隷制に)おいては」了解
6.「(売買)ないしは人身取引」了解。
というか、ここは私が取り間違えてました。
1926 Slavery Convention(http://www.ohchr.org/english/law/slavery.htm) Article 1 (2)で確認しました。
「気楽に、しかし作業は丁寧に」1項ずつ進めていきませんか?
あと、hatenaにユーザー登録しました。が、登録しただけで、何をどうしてよいのやら・・・
(2)「それ」の指示対象がわかりにくくなるので、文章を二つに分割して「奴隷制という犯罪は」を加えました。
というわけで、以下いかがでしょう。
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28.条約法に加え、奴隷制の禁止は慣習国際法上でも強行規範(訳注*)である。奴隷制という犯罪において、政府の関与もしくは国家の行為は必須ではない。それを成したのが公人であろうが私人であろうが、奴隷制という犯罪は国際犯罪である。さらに、奴隷制においては一個人を所有物として取り扱うことが必須だが、一個人が売買ないしは人身取引されていないという事実をもって無効となることは決してない。
o 訳注* 強行規範(jus cogens norm)=いかなる逸脱も許されない規範
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一項目づつ、に賛成です。
はてなメンバーになると、掲示板への書き込みができます。
さらにグループメンバーになると、自分の日記の開設(たとえばここみたいな)、キーワードの編集が可能になります。日記は、たとえば、ここのように編集の進行にも使えるので、開設して使ってみるのもよいのではないか、と思います。
グループメンバーになるには、グループのトップページhttp://ianhu.g.hatena.ne.jp/にいって、右側に「グループに参加」などといった項目があるので、クリックしてください
2項訳出しただけで、慰安婦は性奴隷ではないとほぼ言えなくなりました。まぁ、奴隷条約を批准してないとか言い出すんでしょうが、International Court of Justice(国際法律家委員会)の報告書を出してくればいいかと。
はてなグループの説明ありがとうございました。ianfuグループって投稿しないメンバーでも構いませんか?結論はあまりに自明すぎて、論争する意味が見つからないんです。「報告書第49号」の正しいテキストを提供するとかなら今すぐにでもできます。訳は吉見先生の訳でほぼ問題ないですし。
次の項に取り掛かりたい気持ちもあるのですが、今日はここまでにします。「次行ってみよう!」ってことなら、もう少しだけ進めます。
報告書49号の正しいテキストはいいですね。今のキーワドの開設はウェブから拾ってきたもので間に合わせてある状態です。
というわけで、まあ、ゆるゆるとやっていきましょう。
メンバー申請は考えてみます。
この文書の翻訳が終わったら、報告書第49号のテキストを練習がてらアップしてみます。
今日もありがとうございました。明日からもゆるゆると、しかし忠実に仕上げていきましょう。それでは。
この項は非常に重要で、しかも訳出が難しい部分ですね。kmiuraさんの訳を読んで、新たに気づかされた点がたくさんありました。かなり勘違いしてました。
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29.奴隷制の定義に暗示されているのは、個人が自分の性的行為に関する事柄を決
定するにあったっての自律の制限、移動の自由と(個人が自分の性的行為に関する事
柄を決定するにあったっての権利行使)の制限に関する概念である。
まず、以下の語、語句について新たに訳出を行いました。それぞれgoogleで検索にか
けると用例が出てきますので、それも参考にしました。
・autonomy=自律権
・freedom of movement=移動の自由権
・power to decide matters relating to one's sexual activity=個人の性的活動に対する自己決定権
それぞれの権利が制限されているという概念を「奴隷制」の定義が暗に含んでいるという解釈になるかと思います。
これらを踏まえて、以下のように訳出してみました。ご検討お願いします。
(改訂訳(案))
奴隷制の定義に暗示されているのは、自律権の制限、移動の自由権の制限、および個
人の性的活動に対する自己決定権の制限に関わる概念である。[M. Cherif Bassiouni,"Enslavement as an International Crime", New York University Journal of International Law and Politics vol. 23 (1991) p. 458.]
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The mere ability to extricate oneself at substantial risk of personal harm from a condition of slavery should not be interpreted as nullifying a claim of slavery.
この文も非常に難しいですね(というより私の読解力不足)。それぞれの語、語句を
調べなおしてみました。
"mere ability"
この用語には定訳があるはずですが、見つけ出すことができませんでした。英和辞典
に出ている「単なる」ではないし、「自発的」というのもやはりしっくりこない。そ
こで、Reference.com (http://www.reference.com/browse/all/mere)をひいてみました。Thesaurus Entries にある"bare"とそのsynonymとして挙がってる"basic"あたりがニュアンス的に近いのでないかと推測し、"mere ability"を「基本的能力」と仮訳しました。人間がもともと兼ね備えている能力って意味なのでしょうから、あっさり"instinct"=「本能」でいいのかも。
また、"at substantial risk”を「~の危険性が高い」とし、"slavery"を「奴隷で
ある状態」で統一してみました。
(下線1:)奴隷である状態から、危害が加えられるリスクを負いつつ個人が自発的
に逃れることが可能である場合であっても、それが奴隷であるという主張を無効化す
る状況であると解釈すべきではない。
(改定訳(案))
危害を加えられる危険性が高い個人が奴隷である状態から逃れるのは基本的能力(本
能; mere ability)であり、(それによって)奴隷である状態との主張が無効になる
と解釈すべきではない。
<特にご検討願いたい点>
・基本的能力か本能か、それとも別の表現がふさわしいか?
・(それによって)は必要か否か?
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(下線2)以降の2つの文は素晴らしい翻訳だと思います。勉強になりました。
検討中の条項の訳に目を通しましたが、大きな間違いはないと思います。
ちなみに、29項の"the mere ability"は、私のコネクリ過ぎだったみたいですが・・・mere は「単なる」ってことですね。
(改訂訳(案2))
危害を加えられる危険性が高い個人が奴隷である状態から逃れることが可能であったとしても、それだけもって奴隷である状態との主張が無効になると解釈すべきではない。
27~33項のバウネット訳を書き出したほうがいいですか?
そうですね。バウネット版を一応検討しませんか。これはちょっとなあ、と思うところがあったら、改変してもいいと思います。
『増補新装2000年版 戦時・性暴力をどう裁くか 国連マクドゥーガル報告全訳』、2000年、39~42頁より引用
第2章 犯罪の定義
第2節 奴隷制(性奴隷制を含む)
◆27
一九二六年の奴隷条約*による奴隷制の定義は、最初の包括的な、そして現在でも最も広く認められているものである。一九二六年の奴隷条約によれば、「奴隷制」とは、ある人に対して所有権に伴う権能の一部または全部が行使される場合の、その人の地位または状況であり、強かんその他の性暴力による性的アクセスも含まれる。
◆28
奴隷制の禁止は、条約法*に加えて、国際慣習法*のユス・コーゲンス規範の一つである。奴隷制の罪は政府の関与または国家の行為がなくても成立し、国家の行為者によるものであろうと民間の個人によるものであろうと、国際犯罪に相当する。さらに、奴隷制とは人を所有物として扱うことを指すが、その人が金銭で売買されなかったからといって、奴隷制であるという主張が崩れることはない。
◆29
奴隷制の定義には、自己決定権、移動の自由、自己の性活動に関する事柄の決定権の制限などの概念も内在している(14)。個人的には被害を受ける相当の危険を犯して奴隷状態から逃げることができたとしても、それだけで、奴隷制ではないと解釈してはならない。奴隷化された人が抱く、害を受けることへの当然の恐れや威圧をどう受け止めるかなどの解釈にあたっては、すべてのケースで、被害者の主観とジェンダー意識に基づく分析が行われなければならない。このことは、国内外の紛争で、被害者が戦闘地域にいて、敵対する集団や一派の一員とされている場合には特にあてはまる。
◆30
「性的な」という用語はこの報告書では奴隷制の一形態を説明する形容詞として使われており、別個の犯罪を示すものではない。あらゆる意味で、またあらゆる状況で、性奴隷制は奴隷制であり、その禁止はユス・コーゲンス規範である。第二次正解大戦中日本軍が維持運営した「慰安所」(付属文書参照)や旧ユーゴの既に十分に証明されている「強かん収容所(ルビ:レイプ・キャンプ(15))は、性奴隷の特に凄まじい事例である。性奴隷制には、女性や少女が「結婚」を強要されるケースや、最終的には拘束する側から強かんなど性行為を強要される家事労働その他の強制労働も含まれる。
(略)
◆31
性奴隷制にはまた、すべてではないとしても大半の形態の強制晩春も含まれる。「強制売春」あるいは「売春の強制」という用語は、国際条約・人道条約に登場するが、これまでのその理解は不十分であり、適用も首尾一貫して行われてはこなかった。「強制売春」とは一般に、他人に支配されて性的行為を強要される状態を意味する。
◆32
強制売春のかつての定義は、女性の「名誉」に対する「不道徳な」攻撃というあいまいな表現だったり、さもなければ、奴隷状態の説明と区別できないほど不十分なものだった。このような限界はあるものの強制売春の罪は、ジュネーブ諸条約とその両追加議定書ではっきりと犯罪とされているので、将来、武力紛争下の性暴力を訴追するための、もう一つの手段になる可能性がある。
◆33
原則として、武力紛争下では、強制売春と呼びうる実態はたいていの場合、性奴隷制に相当し、奴隷制として特徴づけたほうが、より適切に、より容易に、訴追することができるだろう。
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【用語解説】
*(原文は▼、以下同じ)奴隷条約
一九二六年九月二十五日に成立した国際連盟時の条約で、今日も有効である。全十二条からなり、締約国に奴隷売買の禁止と奴隷制度の廃止義務を課し、そのための措置(相互扶助、国内法の処罰規定、通報等を規定する。
第一条は次のように定義する。
「この条約の適用上、次の定義に同意する。
1 奴隷制度とは、ある人に対して、所有権に伴う権能の一部または全部が行使される場合の、その人の地位または状況をいう。
2 奴隷制度とは、その者を奴隷の状態に置く意思をもって行う個人の捕捉、取得又は処分に関するあらゆる行為、その者を売り又は交換するために行う奴隷の取得に関係するあらゆる行為、売られ又は交換されるために取得された奴隷を売り又は交換することによって処分するあらゆる行為並びに、一般に、奴隷を取引し又は輸送するすべての行為を含む。」
日本政府は、この最も古い人権条約をいまだに批准していない。また、日本政府は、付属文書に示されているように、奴隷制の禁止は第二次世界大戦時の国際慣習法ではないと主張している。(同書、132~133頁)
*条約法
国際法の法源としての条約による規範のこと。広い意味での条約とは、国際法主体(主に国家)間に締結され、一定の法的効果を生み出すあらゆる合意をさし、「条約」という名称を持つとは限らない。条約、協定、協約、合意等の総称が条約法である。国際法の法源には、条約のほかに、国際慣習がある。また、法の一般原則、判例・学説に法源を認めるか否かは争いがある。(同書、129頁)
*国際慣習法
国家の一定行為が長期にわたる継続的反復からなる慣行となっており、その行為が法的義務に対応したものであるとする法的信念が存在する場合、国際慣習法が成立したとされ、国際法の法源とされる。成立した国際慣習法の適用範囲は、条約とは異なり、一般にすべての国に及ぶとされる。(同書、128頁)
▼ユス・コーゲンス(強行規範)
いかなる場合にも逸脱を許されない一般国際法の規範で、後に成立する一般国際法の強行規範によらなければ変更できない規範のこと。条約法に関するウイーン条約五十三条に規定されている(本文第36項参照)。任意的国際法規範が強行規範と抵触する場合、それが強行規範より後の法であったり、特別法であっても、無効とされる。(同書、127頁)
【参照文献】
(14) M. Cherif Bassiouni,"Enslavement as an International Crime", New York University Journal of International Law and Politics vol. 23 (1991) p. 458.
(15) 例として、ICTFY, ガゴビッチその他に対する起訴状、事件番号IT-96-23-I (26 June 1996)(以下、「フォチャ事件起訴状」) 参照. (同書、147頁)
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以上です。タイプミスがあるかもしれません。ご指摘くだされば確認して返事します。
実は、今日は強度のstiff muscles状態で、リハビリがてら入力してました。
それから、この作業って多くの方の意見をもらうのがいいのか、それよりも先にこのレベルの英語が理解できる者の間で訳を確定したらいいのか、それぞれ一長一短ですね。
どんな形でも対応できるように、ianhuグループに参加申請しようと思います。
検討、ありがとうございます。以下は私の意見です。
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センテンス1
(改訂訳(案))
奴隷制の定義に暗示されているのは、自律権の制限、移動の自由権の制限、および個人の性的活動に対する自己決定権の制限に関わる概念である。[M. Cherif Bassiouni,"Enslavement as an International Crime", New York University Journal of International Law and Politics vol. 23 (1991) p. 458.]
→ひとつだけ。 implicit,暗示という言葉がどうも気になる(定義が暗示、というのはどうも・・・)ので、”示唆”でいかがでしょうか。あとはOKです。
(改訂訳(案2))
奴隷制の定義に示唆されているのは、自律権の制限、移動の自由権の制限、および個人の性的活動に対する自己決定権の制限に関わる概念である。[M. Cherif Bassiouni,"Enslavement as an International Crime", New York University Journal of International Law and Politics vol. 23 (1991) p. 458.]
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センテンス2
これは、私と解釈がちょっとりがっているかもしれません。少し詳しく解説してみます。"mere ability"についてですが、ニュアンスとしては若干ネガティブな意味で使われる言葉です。別の言葉でいうと、英語の意味の「ナイーブ」みたいな感じかもしれません。今ちょっとネットで例文を探してみたら”Capturing the moment with a compelling photograph requires more skill then the mere ability to point a camera. ”というような文章がありましたが、これはその英和辞書にあるような「単にカメラを向けるだけよりも」という文脈で、単なる操作能力では表現しきれないもの、という表現です。同様に広い意味での能力が基本+応用であり、その基本部分を指す、というのならば確かに「基本能力」でよいと思うのですが、センテンス2では、基本能力よりも、「全体の状況の中で”単に”そのような能力があるからといって、奴隷である状態ではないとはいえない」、という主張とmereの用法だと私は解釈します。
これを勘案した上で"The mere ability to extricate oneself at substantial risk of personal harm from a condition of slavery "の解釈は、説明的に訳せば次のようになるでしょう。
脱出が失敗した場合にその脱出を企図した個人に危害が加えられる危険性がある状況下において、自発的に脱出することが可能であるといっても、それはやはり”隷属下”と判断すべきである。(続ければ "・・・やはり隷属下と判断すべきなのであり、単なる脱出可能性をもって隷属化にあるという主張を無効にすることはできない")
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追記。上の最後の”説明的な訳”はかなりまだるっこしい訳なので、そのまま使うつもりではありません。
コメント欄が一杯になると書き込めなくなることがあるので、そうなったら翌日分(20日)のコメント欄に移動することにしましょう。
バウネット版を見て、その訳を一応確認して、検討すべき部分がないかチェックします。
→ひとつだけ。 implicit,暗示という言葉がどうも気になる(定義が暗示、というのはどうも・・・)ので、”示唆”でいかがでしょうか。あとはOKです。
「暗示」は確かに変ですね。「示唆」というより「内在している」とか「もともと含まれている」とか「必然的に含まれる」というニュアンスを前面に出したほうがいいかもしれません。
(改訂訳(案2))
奴隷制の定義に示唆されているのは、自律権の制限、移動の自由権の制限、および個人の性的活動に対する自己決定権の制限に関わる概念である。[M. Cherif Bassiouni,"Enslavement as an International Crime", New York University Journal of International Law and Politics vol. 23 (1991) p. 458.]
ここは、主節を前にもってきて、
(改訂訳(案3))
自律権の制限、移動の自由権の制限、および個人の性的活動に対する自己決定権の制限に関わる概念は、奴隷制の定義に必然的に含まれる概念である。[M. Cherif Bassiouni,"Enslavement as an International Crime", New York University Journal of International Law and Politics vol. 23 (1991) p. 458.]
でどうでしょうか?
-----------------
センテンス2
"mere ability"の説明ありがとうございます。とてもよくわかりました。コネクリまくったっていうか、mereの意味を深読みしすぎました。虚心坦懐、基本に忠実にですね。
コメ欄誘導お願いします。
自律権の制限、移動の自由権の制限、および個人の性的活動に対する自己決定権の制限に関わる概念は、奴隷制の定義に含意されている。[M. Cherif Bassiouni,"Enslavement as an International Crime", New York University Journal of International Law and Politics vol. 23 (1991) p. 458.]
という感じでいかがでしょう。
文字には表されていないが、もともと含まれてることは明らかな内容ってことですね。
30項の訳出について
下線1 制奴隷制 → 性奴隷制 Sorry, typo.
下線2 ,including のカンマが気になったんですが、強姦を含むのはやはり強制的な性的な活動ですね。
"that ultimately involves forced sexual activity"の部分はもう少し簡素な訳出がしたかったんですが、「結局のところ強制的な性的活動に至る」くらいでもいいかなと思います。
それから、"rape"は「レイプ」か「強姦」か「強かん」に統一しませんか。「強かん」という表記の根底にある思想は、「障がい者」という表記の根底にある思想と同じだと思うので、却って不快な表現になりかねない(当然、異論もあるでしょう。)というのが私の個人的見解で、加えて、できるだけ日本語で表記したいという想いもありますので、「強姦」が最適かと思います。
また、性奴隷制は成人女性や少女に対する強制的な「婚姻」、家庭内労働などの結局のところ捕獲者によるレイプをも含む強制的な性的活動を伴う強制労働の状況を網羅するものである。
→
また、性奴隷制は成人女性や少女に対する強制的な「婚姻」、家庭内労働、あるいは強制労働など、捕獲者によるレイプを含み結局のところ強制的な性活動に至る状況を網羅するものである。
同じく「強かん」はどうも私も使えません。漢字にしなけりゃいいのか、ということで。「強姦」か「レイプ」か、なのですが、「強制」と「強姦」は漢字の意味にリダンダントなところがあるので、レイプの方がいいかな、と思っています。
あと、「性的活動」という単語にちょっとひっかかりがあります。性行為、というとsexual behaviourなので、上のように性活動、という単語でいかがでしょうか。行為はあるていど目的が背景にあるようなニュアンス。性活動(sexual activity)はもうすこし目的から遊離した行動そのものを指すタームのように自分では解釈しています。
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私の方は、本業がちょっと詰まってきたので、本日はこれまでにします。このコメント欄は、一杯になるまで使いましょう(かきこめなくなるので、わかります)。
私のほうも今日はここまでとします。kmiuraさんへの返事はまた明日にでも入れておきます。
また、性奴隷制は成人女性や少女に対する強制的な「婚姻」、家庭内労働、あるいは強制労働など、捕獲者によるレイプを含み結局のところ強制的な性活動に至る状況を網羅するものである。
"rape"が「強姦」か「レイプ」かについての考えは他の方にも意見を聞いてみたいところですね。人によって語感が微妙にずれる部分で、そのギャップを知的な作業で丁寧に埋める作業を日本人は怠ってきたんじゃないか、それぞれがギャップを埋めようとせずに、ギャップこそ根幹的な見方の差であると他者を感情的に攻撃してきたんじゃないか、そして、そのツケが今、「慰安婦問題」などで抜き差しならないイデオロギー対立、感情的対立となって現れているんじゃないかと考えたりさえします。
それは、それとして、ここは「レイプ」で統一しましょう。
また、sexual activity も「性活動」に統一しましょう。
私個人としてはkmiuraさんとは全く逆の印象を持っていますが、特に争点となるほどの問題ではないように思います。
-----
訳語の妥当性に関しては、"slavery"にもあると思います。
「奴隷制」という表現は社会に定着していますが、「制」という漢字が表すようなシステマチックな枠組みが作られているかどうかが最大の問題ではないので、27項で定義されているように一貫して「奴隷である状態、状況」であるべきでしょう。
ですが、そういう課題はあっても、実利的に考えれば、「奴隷制」と「奴隷である状態」という訳語を使い分けてよいと思います。読みやすさという観点から言えば「奴隷である状態」を「奴隷の状態」としてもよいかとも考えます。
30は最後のセンテンスを入れ替えて、”清書”のほうを更新しました。
----
29はこのセンテンスだけ残っているのですが、
奴隷である状態から、危害が加えられるリスクを負いつつ個人が自発的に逃れることが可能である場合であっても、それが奴隷であるという主張を無効化する状況であると解釈すべきではない。
→
脱出が失敗した場合にその脱出を企図した個人に危害が加えられる危険性がある状況の奴隷状態において、自発的に脱出することが単に可能であるということをもって、隷属化にあるという主張が無効になる状況であると解釈するべきではない。
少々説明のための言葉を加えました。いかがでしょうか。
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強姦かレイプか、というのはよい論点だと思います。どこか隠蔽して放置してしまうところがある、それがさまざまなすれちがいを生じている、という点に関して、なるほど、と私は思いました。
slaveryに関しては隷属、隷属下という言葉も検討したらどうかな、と思います。
訳語の統一・検討はとても重要だと私もあらためて思います。言葉のもつ印象、指示対象の範囲の微妙なさで、文章全体のもつメッセージも変わってしまうでしょう。もちろん、この議論は全体の訳がほぼ終わってから言葉の選択、ということで議論し、単語を置換することができるので、ペンディング(あるいは議論をはさみつつ)、ということにしませんか。
29の残った文の訳ですが、翻訳はできるだけ原文の語のみを用いて行い、説明の文は説明として訳注に書くほうが、原文と照らし合わせる方にとっても納得しやすいですし、揚げ足を取られないという意味においても重要だと思いますので、もとの訳を基本にするほうがいいと思います。
ただ、"at risk of" は「~のりスクを負って」というより「~の危険がある」という意味で使っていると思うのですがどうなんでしょう?
"Clinically important abnormalities of these mechanisms are common and a logical and costeffective approach to the detection of patients at risk of bleeding is required. "
こういう表現を頻繁に使うので、それ以外の意味にとれないのは職業的バイアスかもしれません(at risk for のほうが適当でしょうが、ofを使う方も多いです)。
奴隷である状態から、危害が加えられるリスクを負いつつ個人が自発的に逃れることが可能である場合であっても、それが奴隷であるという主張を無効化する状況であると解釈すべきではない。
↓
(試訳)
個人が、危害を加えられる危険性が高い場合、奴隷状態から逃れることが単に可能であったとしても、それをもって奴隷状態である主張が無効になる状況にあったと解釈すべきでない。
過去形を使ってコントラストもつけてみましたがどうでしょうか?
それから、強姦かレイプか、その用語に限らず、なにを「隠蔽して放置して」きたのか考察してみたいですね。「どっちでもええやん、日本語は曖昧なところがええねん。」というのは別に日本語に限ったことではないですし。
試訳についてですが、脱出には危険が伴う場合、というニュアンスをもうすこし前にだせないかなあ、と思います。at risk ofは確かに危険を賭して、ということなので(カタカナのリスクはたしかに妙に無機質ですね)、脱出成功の可能性と危害を加えられる可能性を引き比べて、それでもあえて危険を賭す、という状況というのかな。
(試訳2)個人が、奴隷状態から逃れることが単に可能であったとしても、危害を加えられる危険性が高い場合、[その逃れる可能性があることをもって、]奴隷状態である"という"主張が無効になる状況にあったと解釈すべきでない。
ブラケットのところは私が今加えたところで、あとは最初のところを入れ替えただけです。quoteのところは、脱落かな、と思ったので足しました。なお、なるべく忠実に本文を訳して、訳注であらためて説明する、という点に賛成します。ブラケットの中身は註にして
(試訳3)個人が、奴隷状態から逃れることが単に可能であったとしても、危害を加えられる危険性が高い場合、(訳注*)奴隷状態である"という"主張が無効になる状況にあったと解釈すべきでない。
訳注* [その逃れる可能性があることをもって、]
みたいな感じでしょうか。
(試訳4)個人が、奴隷状態から逃れることが単に可能であったとしても、危害を加えられる高い危険性を賭すことになるならば、奴隷状態である"という"主張が無効になる状況にあったと解釈すべきでない。
「その逃れる可能性」の「その」はあったほうがよいと思うのですが、「どの可能性やねん?」という即興的な反応を引き起こす危険もあるように感じます。mereがあることを根拠に「その逃れる可能性」→「逃れることが可能であったことのみをもってして」でもいいかと思います。単なる勘なのですが、こっちは何故かつっこまれないような・・・
The mere ability to extricate oneself at substantial risk of personal harm from a condition of slavery should not be interpreted as nullifying a claim of slavery.
"interpreted as nullifying a claim of salvery" はシンプルに「奴隷状態であったという申し立てが無効になる(される)」と訳してみます。"a claim of "という語句が他にもあれば統一したほうがいいと思います。
以下、kmiuraさんのご説明やご意向も加味して、訳注なしで訳してみます。
(試訳4)
個人が、危害を加えられる危険を賭して奴隷状態から逃れることが可能であったとしても、逃れることが可能であったことのみをもって、奴隷状態であったという申し立てが無効になると解釈すべきでない。
どうでしょうか?
前の訳では"substantial"の訳が抜けていたので、
(試訳5)
個人が、危害を加えられる多大な危険を賭して奴隷状態から逃れることが可能であったとしても、逃れることが可能であったことのみをもって、奴隷状態であったという申し立てが無効になると解釈すべきでない。
ではいかがでしょう?
Claimは申し立て、ということで申し分なしです。統一しましょう(あとでまとめてみなおしましょう)。
清書のほうご苦労様です。
今日はここまでということにしませんか?
また、明日時間を見つけて残りの項についてコメントあげておきます。
29改定版を清書に上げて今日はおわりということで。明日夕からポルトガルに出張なので、水曜夜までお返事できなくなります。49号のテキストなど、上げられるのでしたら、21日のコメント欄を使ってください。
http://ianhu.g.hatena.ne.jp/kmiura/20070621
そうしたら明日付けで、エントリーを立てますので。
あるいは掲示板にあらたなスレッドをたてられるということでもよいと思います。
「マクドゥーガル報告」も読み進めてます。
残りの項のコメント上げておきます。お疲れのことと存じますので、ご都合のよいときに検討してください。
それから、練習がてらブログを始めてみました。早速、毒っぽいです。性根は隠せません。報告書49号は、6月21日の記事にトラックバックを送っておきました。
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31項の訳出について
下線1 この文書を通じて form =形態 と訳したほうがよいと思います。
下線2 あえて日本語に訳さなくても、「 強制売春(forced prostituion=enforced prostituion)」 という捉えでいいと思います。
下線3 了解。日本語も勉強します。
下線4 了解です。
32項、33項の訳出について
全て、了解です。
forcedとenforcedの違いというのは、フェミニズム系のタームでなにやら区別することになっているのをどこかで読んだ気がするのです。でもこれも一般的には一緒の意味、と捉えますね。Stiffmuscleさんの元の訳のとおり、「 強制売春(forced prostituion=enforced prostituion)」 ということにしましょう。ということで31も終わり。
設置された日記の方、みてみました。短い間にすでにいろいろ書かれているようで、すばらしいと思います。
訳全体を見直して完成させましょう。長期ご出張でお疲れのことと存じ上げますので、ぼちぼちと。
途中で話題になった、「強姦」か「レイプ」かって語の定義と語感の問題は、安倍総理が「謝罪」したのか「お詫び」したのかにも繋がる根の深い問題だと思いますので、そのあたりを追求、討論したい思いもある一方、「マクドゥーガル報告書」に拘って資料を整理したいとも考えております(こちらは私の日記で積み上げていくつもりです)。
昨日はコメントを投稿しようとしたら、サーバーにつながらなくて、返事が遅くなりました。
ここのトピックとは関係ないですが、The Factの翻訳はあらためて、はてなのキーワードを編集して、全文追加したほうがいいかもしれません。掲示板を眺めていて思いました。
The Factsについてですが、Lunakkoさん全訳がんばられたみたいですね。
この広告はあえて全訳しなかった(したくなかった)んです。
一つには、広告主が正式日本語訳を用意しているのが当然と考えていたこと。
二つ目に、このような元慰安婦の方々を貶めるような文章そのものを翻訳すること自体が嫌だったこと。
三つ目に、全訳して「なかった」派の坊ちゃん嬢ちゃんにわざわざ栄養補給してあげなくてもいいと考えたこと。
ですから、翻訳は最小限にとどめて、ある程度反証になりそうな資料や、論点を提示して記事にしていただきました。
"THE FACTS"自体を訳出する意味自体が私の中にはもう存在していません(傲慢ですが)し、今は関わりたくないというのが本音です。
「ジュネーブ条約とその追加議定書」は外務省の表記に合わせて
「ジュネーヴ諸条約及び追加議定書」
とするのがよいと思います。勉強不足でした。33はOKです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/k_jindo/giteisho.html
もっと効率的な方法があったらご教示下さい。
最終校正ができたら、次の目標など設定できればよいなと漠然と考えたりしてます。
とりあえず、ご連絡まで
訳語の検討は必要ですね。奴隷制、というとどうもシステムみたいに聞こえるし。
今後についてですが、翻訳などについては、2007年になって情報公開された米国側の機密文書などをピックアップしてみました。どうやってメリーランドまで行くかが問題ですが。。。今日付け(7月2日)のエントリーをごらんください。
slavery の訳語ですが、
http://dictionary.reference.com/browse/slavery
を参照すると、「奴隷制」もしくは「奴隷(である)状態」の意味があります。
(あえて再確認の為にURL出しました。)
今回訳した箇所については、「奴隷(である)状態」の意味で統一したほうがよいと思います。
関連して、"sex slavery”ですが、この語の訳出はさらに厄介な要素をはらんでいるように思います。「性奴隷制度」ではなくて「性奴隷(である)状態」でよいと思います。「性奴隷ではない!」という感情的反発を抱く方も多いので、「慰安婦」という婉曲語よりも実態を表した「性奴隷」を使うほうが適切であることをできるだけ多くの方に納得できる形で提示する方法を考えないとならないですね。マクドゥーガル文書に、それに関する内容があったと記憶していますので、探してみます。
また、これは"rape center (強姦所)"についても言える事で、中国で現地の人は実際にこの呼称を使っていたという記述を読んだ記憶があるのですが、資料が探し出せていません。
最後に、NARAの件です。予算と時間の余裕があれば問題ないんですが(私の場合は+体調)、このご時世、専門家の先生方も予算組めないでしょうし・・・
この話題については、7月2日のエントリーで別に話をしていったほうがいいですか?
奴隷状態の定義、というキーワードにして、そちらに内容を移し変えることにしましょうか。で、目下の「奴隷制の定義」には、新しい方へのリンクだけ残す。性奴隷制、性奴隷状態もそうですね。訳語に関する上のような経緯も”slaveryの訳出について”ということで掲載しておけば、なにかと読む人のためにもなると思います。
NARAに関しては、2日付コメント欄にしましょう。
なぜ「慰安婦」ではなくて、"sex slave"なのか、マクドゥーガル文書から抜き出してまとめてから、あたらしい定義に付け加えます。どこに挿入するかを小見出しで指定しておいていだだけると有難いです。
slavery"は「奴隷状態」、"sexual slavery"は「性奴隷状態」、訳語は意味の上ではこの2つでいいと思うのですが、統一して訳すと日本語がおかしくなってしまいますね。特に、『「性奴隷状態」の罪』という表現にしてしまうと誰が罪を犯したのか曖昧になってしまいます。予想してたより難しいですね。
作為者=>(被害者を)「奴隷状態」に置いた
被害者=>(作為者によって)「奴隷状態」に置かれた
という視点による使い分けと、加えて犯罪名としての"slavery"に対する日本語(つまり定訳の「奴隷制」)を訳し分ける必要があるかもしれません。 主語を必要とするのはむしろ日本語のほうなのかな?
この翻訳を読んでほしい人たち(これから知識や情報を手に入れる人たち、間違った理解をしている male shovenists)の視点にも立ってみて、もうちょっと悩んでみます。
それなりに悩んで、文章完成させました。トラバ送ってありますので、ご覧戴いてご意見いただけると嬉しいです。ちょっと長くなりすぎかな?って思うんですが、削れるところがありません。
キーワードのほう、28項と29項を「奴隷状態」という訳語にこだわって訳してみましたが、どうでしょうか?
少々意味の通りにくい部分があるように思いますが、これで最後まで通すのがよいと思います。そのあとで文章の意味におかしいところがないか、チェックしませんか。今気がついたのは「必須である」が入っているセンテンスのところが、「奴隷状態である」という状況に対する判断にはしかじかの要素が必須である、ということなのでしょうけれど、なんか日本文として変な気がします・・・ということはその変な部分が認識の至っていない部分かもしれない。まあ、だけどこれはあとで考えませんか。
頭をクリアーにする必要あるのは私なので、申し訳ないですが、少し時間をくださいね。
長い間コメントせずにいて申し訳ありませんでした。ちょっと寝かせすぎました。
また1項ずつ、訳出の完成にむけてお力をお貸しいただけると有難いです。
27項についてのご意見をお聞かせ下さい。
→これは、「奴隷状態の定義」というのが、どこが定義なのかという点でちょとひっかかっていて、奴隷という状態、としたほうがいいなあ、と思ったのですが、語順を変えればOKなようです。
1926年の奴隷条約において奴隷状態の最初の包括的な定義が明記され
28.条約法に加え、人を奴隷状態に置くことは、慣習国際法上でも、強行規範(訳注2)として禁止されている。人を奴隷状態に置くという犯罪において、政府の関与もしくは国家の行為は必須ではない。それを成したのが公人であろうが私人であろうが、人を奴隷状態に置くという犯罪は国際犯罪である。さらに、奴隷状態においては一個人を所有物として扱うことが必須だが、一個人が売買ないしは人身取引されていないという事実をもって無効となることは決してない。
奴隷状態においては一個人を所有物として扱うことが必須だが、
→
人を奴隷状態に置くには一個人を所有物として扱うことが必須だが、
ーーーーーーーーーーーーー
今思ったのですが、人を奴隷状態に置く、という言葉がなんかないんですね。隷属させる、だとちょっとちがうしなあ。隷属する・させるという意志のベクトルではない。隷属する、というのは状況の説明であるとともにどっか能動的なわけで、日本語の奴隷っていうのはそもそもそうした感じなのだろうか、とか思いました。
とりあえずこんなところでひとまず。ご意見待ってます。
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「奴隷状態に置く」とか「奴隷の状態に置く」で検索すると、人権に関連する内容でこの表現は使われているようです。
日本人って、名詞使うの好きじゃないですか。最近で言えば、「介護難民」とか「マニフェスト」とか、なんとなくわかったようでいて、結局、主体や客体が曖昧になったり、その背景や問題点がわからなくなったりしてしまう。slaveryだって、いままで私たちが出してきたものを全て含んで、jargonじゃなくて普通の意味でslaveryじゃないかって思ったりもします。まず概念を普及するべきなのに、言葉だけが普及していってるようにも思います。科学的なアプローチができないにもほどがあるのはこんなところにも遠因があるような・・・
残りです。
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タイトル
二章 犯罪の定義 B.奴隷制(性奴隷制を含む)
→
二章 犯罪の定義 B.人を奴隷を状態に置くこと(性奴隷に置くことを含む)
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29.自律権の制限、移動の自由権の制限、および個人の性活動に対する自己決定権の制限に関わる概念は、奴隷状態の定義に含意されている。
→ OKです。
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30.本報告書では、「性的(sexual)」という用語を奴隷状態の一形態を説明するための形容詞として使っており、一個の独立した犯罪として名称を与えるための形容詞ではない。あらゆる観点からみても、あらゆる状況においても、奴隷状態は奴隷状態であり、人を奴隷状態におくことは強行規範として禁止されている。第二次世界大戦中に旧日本軍が管理維持した『慰安所』(付属文書(appendix)参照)や、旧ユーゴスラビアで明確に立証されている『レイプ収容所』(例、ICTFY, Indictment of Gagovic and Others, case IT-96-23-I (26 June 1996)参照、以降フォチャ事件と記す)は、人を性奴隷状態に置いた(事例の)中では極めて悪質な例である。また、性奴隷状態とは成人女性や少女に対する強制的な「婚姻」、家庭内労働、あるいは強制労働など、捕獲者によるレイプを含み,結局のところ強制的な性活動に至る状況をも含むものである。
→OKです。
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31.また、性奴隷状態はすべてではないが、ほとんどの形態の強制売春をも含むものである。
→OKです。
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32.旧来の強制売春の定義には、女性の「名誉」に対する「不道徳な」攻撃という曖昧な言葉で焦点を当てたものと、奴隷状態の状況をより正確に説明しているであろう定義とほぼ差異がないものがある。
→ 状態の状況、というより状態の条件ではないでしょうか。あと、elseを入れて
32.旧来の強制売春の定義には、女性の「名誉」に対する「不道徳な」攻撃という曖昧な言葉で焦点を当てたものと、>そうでなければ奴隷状態の条件<をより正確に説明しているであろう定義とほぼ差異がないものがある。
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33.一般原則として、武力紛争の状況下での強制売春と説明しうる事実関係のほとんどが、実のところは奴隷状態と同然であり、奴隷状態としてそれを特徴づけ告発するほうが、より的確かつより容易であると思われる。
→ "性"が抜けています。
33.一般原則として、武力紛争の状況下での強制売春と説明しうる事実関係のほとんどが、実のところは>性<奴隷状態と同然であり、奴隷状態としてそれを特徴づけ告発するほうが、より的確かつより容易であると思われる。
全て承知しました。丁寧に見て頂きありがとうございました。ぼちぼちと清書します。
次のテーマを何にするか、見つけられたらいいなと思います。