2008-07-15
■ 国会に出てきた『奴隷条約』 その2

衆議員外務委員会 (昭和56年05月28日)
○賀陽政府委員 人権関係の未締結、未批准の条約についての御質問でございますが、これは列挙して申し上げますか。
○野間委員 いいえ、大ざっぱなあれで……。
○賀陽政府委員 一つはジェノサイド防止処罰条約というものがございます。集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約でございます。それから奴隷条約、無国籍者の地位に関する条約、既婚婦人国籍条約、無国籍削減条約等でございますが、さらに最近では婦人差別撤廃条約というものが課題に上っています。
○野間委員 いま挙げられた中に幾つが非常に重要な条約があったと思いますが、ジェノサイド条約、これも決して時代の古い出来事ではなくて、最近も、たとえばエルサルバドルの十四家族の圧政の中でいろんな虐殺が出ておりますし、またポル・ポト政権下の虐殺についてはすでに天下周知の事実なんです。こういう点で、先ほど申し上げたようにせっかく国連の人権委員会のメンバーとして入ったわけですから、ジェノサイド条約についても早急に検討した上で加入するべく努力をする必要があるのじゃないか、こう思うわけでありますが、この点についていかがでしょう。
○賀陽政府委員 ただいま御指摘のジェノサイド条約をどう考えるかということでございますが、この集団殺害罪というものが国際法上の犯罪であることを確認し、共同謀議の段階から実行過程までそれを処罰するという趣旨のものでございますが、わが国もその趣旨には異存はないところでございます。
条約の義務履行を国内法で担保しようとする場合に、条約が禁止している各種の犯罪行為をどのように国内法において構成要件として決めていくかという条約上の問題点がございまして、これが必ずしも明確でないということは否定できませんので、加入をしておりません。しかし、野間委員の御指摘もございましたし、一昨年におきましては立木委員からも本件につきましては非常に強い御指摘もございましたことを私は記憶しておりますので、刑法上の犯罪として立法化することを含めまして、今後関係省庁と連絡しつつ、慎重ながら検討を進めてまいりたいと思います。
○野間委員 確かに国内の法体系の整合性の点で一定の工夫はあると思いますが、これはいまの局長の答弁でも技術的に決して不可能ではないし、そういう点でこれから検討をさらに進めるというような答えなんですけれども、と同時に、この条約に加入するということは、国際的に世論をリードすると言うと大変オーバーな表現になるかもわかりませんが、日本としては先ほど申し上げた難民条約に対する対応と同じように、単に消極的な態度で対応するのではなくて、やはり国際的な世論に訴える、そういう意味で日本が条約に加入するということ自体が大きな意義と役割りがあるというような位置づけなり認識を私はしておるわけであります。そういう点からも、いま答弁がありましたけれども、さらにひとつ鋭意努力をしていただきたい。このことについて再度お答えいただきたいと思います。
○賀陽政府委員 野間委員の非常に強い御指摘もございましたので、御趣旨を踏まえまして、慎重ながら検討してまいりたいと思います。
○野間委員 慎重ながらというのは一言多いわけで、だから前向きに、積極的に、早急に検討をぜひしていただきたい。これを重ねて要望申し上げておきたいと思います。
それから、いまの婦人に対するあらゆる差別を撤廃する条約なんですが、これはいつか私も法務委員会で取り上げたことがありますが、国際婦人年も御案内のとおりもうすでに中間年を過ぎて、これから十年目に向けてすでに折り返しをスタートしているわけですね。法務省の意向などを聞いておりますと、とにかくその期間内であればいいのではなかろうかというような、これまた消極的な姿勢というふうに私は感ずるわけでありますけれども、法務省、もしどなたか来ておられたとするなら、これについていまどの程度進捗しておるのか。特に国籍法の改正が中心になると思います、後でまた帰化の要件の緩和の問題とも絡みますし、ぜひひとつお答えをいただきたいと思います。
参議員決算委員会 (平成02年10月04日)
○千葉景子君 大蔵大臣は今総理の臨時代理もおやりということでございますけれども、これはそれぞれの担当各省各庁、自分の管轄の部分を含めて基本的な認識をやはり持っていただかなければいけない部分だというふうに思います。
子供の権利条約については政府としても大変積極的な姿勢は見えつつあるようでございますけれども、ただ、子供の権利というのは子供の権利だけ考えればいいというものではない、それだけがうまく確立していくということではないというふうに思うんですね。これは人権、人間の権利全体がどう豊かなものになっていくか、やはりこういう総合的なことが子供の権利をも高めていくということだろうというふうに思うんです。そういう意味では、子供の権利について大変関心を持っていただくことも結構ですけれども、やはり日本の全体の人権に向けた目やあるいは取り組み方、こういうことをもう一回考えてみる必要があるのではないかというふうに思います。
先ほど、梶山法務大臣は、これからそこには全力でというか、大きな力を向けていくというお話でしたけれども、まさに梶山法務大臣のこれからの姿勢というものも大いに問われてくるところだろうというふうに思うんですね。
日本では子供の権利条約はこれからですけれども、これまで重要な人権にかかわる条約というものも、例えば人種差別の撤廃条約であるとか、人権規約のB規約の議定書であるとか、あるいはアパルトヘイトにかかわる条約、拷問の禁止の条約、これ未発効ですけれども、その他奴隷条約とか、未加入とか未批准というものが大変多い。そういうことも含めて、日本は経済は大変に豊かな国になったけれども、人権に関しては一流とはとても言えない。三流あるいは五流と言われているような状況でございます。
そういう意味では、この子供の権利条約を考えるに当たって、やはりもう一回こういう総合的な人権に向かった取り組み、あるいは条約の批准に向けた取り組みなどを再検討、見直す必要があるのではないかというふうに思いますけれども、外務大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 先般私も国連総会に列席をいたしまして、この子供のためのサミットこおける各国首脳の姿勢というものを改めて目の当たりにしたわけでございます。今日、一日四万人の子供たちが地球の上で毎日死んでいっている。また、栄養失調で悩んでいる子供たちの問題も大きく議論をされましたが、私ども国内法との関係をさらにこれから詳細に検討いたしまして、できるだけ早く批准ができるように政府としても努力をいたしたいと考えております。
○千葉景子君 若干お答えがというか、私はもう少しほかの面でもこの子供の権利条約と国内法、これを見直していくということも必要ですけれども、全体的な人権、そういう総合的な観点からほかにももっと積極的に進めるべき問題がたくさん残されているのではないか、こういうことを指摘させていただいたんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) いろいろと日本の国としての長い慣習の中にはいわゆる人権問題についての不十分な点もまだ残されていることは私も率直に認めなければならないと思いますが、そのような問題点を抱えたこの社会が人権が尊重される社会に立派になっていくために、国内法、あらゆる問題点につきまして政府としては努力しなければならないと考えております。
○千葉景子君 世界はこぞって人権問題に取り組み、そして条約などでお互いにこういう問題を高めていこうという時代ですから、遅過ぎるぐらいですけれども、積極的になることは当然のことですのでぜひお願いをしたいと思います。
さて、この子供の権利条約は、もう私はきょうは時間がありませんのでくどくど言いませんけれども、やはり基本的に発想をこれまでと大きく変えるものだというふうに思います。それはやはり子供の自己決定権というんでしょうか、これまで子供は未成熟であり大人が保護をしていこう、むしろその保護をする客体に位置づけていたということから、子供を主体に、子供がやはり意思を持ち自分で自分の意思を決定していく、大人はそれをできるだけ発揮をするように努めていこうじゃないか、そういうやはり発想の転換をしなければいけないというふうに思います。
そういうことを考えてみますと、これはもう各省各庁自分の担当分野で考え直してみなければいけない部分が私は相当あると思うんです。
きょうは法務省と文部省にも来ていただいたわけですが、これはそれぞれにまたお尋ねするべきところかと思いますけれども、法務省、法務大臣ですけれども、一番問題にされていますよ。法務省のさまざまな管轄の問題の中には、この条約を考えるに当たって検討すべきところがもう相当あるのではないか。文部省も法律、制度の上ではわかりませんけれども、例えば子供の意思ということを考えれば、校則の問題、処分の問題、学校でのカリキュラムや教科書の問題、あるいは集会とか子供たちが自分の意思を表明するそういう場があるかどうか。そういうことも含めて大変大きな問題点が残っているのではないかというふうに思うんです。
きょうは法務省それから文部省、両方に、この権利条約をこれから検討するに当たってどんなことを考えていらっしゃるか、どんな問題点があるか、本当に認識なさっているのかどうかお尋ねして終わりにしたいというふうに思います。
○国務大臣(梶山静六君) 先ほどの答えに尽きるわけでありますが、本条約の目的を念頭に置きながら、鋭意国内の具体的な問題について詰めてまいりたいと思いますが、確かに目的と具体的な一つ一つについては問題点が数多くあることをおぼろげながら了解をいたしております。
それは例えば立場の違う子供の相続の問題であるとか、難民の子供が入ってきて親と同居できない問題をどう処理するとか、あるいは国内において犯罪を犯して国外退去を命ぜられた親と子供はどういう関係にあるべきか。それぞれ個々の問題では大変な問題を抱えていることを私も承知をいたしております。しかし、大きな目標に向かってお互いにすり合わせをしながら、この問題に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○国務大臣(保利耕輔君) 子供の権利条約につきましては、委員から御指摘のとおり、世界の中で
現在初等教育すら受けられない人々が一億人以上いらっしゃるとか、あるいは年に千四百万人も子供さんが亡くなるとか、そういうような状態になっておりまして、日本としてもこうした問題の除去に努めていかなければならないのではないかということが一つ言えると思います。
もう一つは、委員御指摘の国内の問題でございますけれども、文部省といたしましても児童生徒の基本的人権に十分な配慮をした教育指導やあるいは学校運営が重要であるということを十分に認識いたしております。そういった観点に立って、今後とも児童生徒の基本的人権が守られるように努めてまいりたい、このように思っております。
ただ一つだけ、日本は法治国家でありますから、やはり集団生活において一定のルールを守るという、そういう気持ちも植えつけていかなければならないのではないか。これと基本的人権をどう整合させるかという非常に難しい問題になろうかと思いますが、こういった点も勘案しつつ人権の擁護については十分確保していくように努力をしてまいりたいと思っております。
○国務大臣(塩崎潤君) 条約等に今申されましたようなことがあり、私どもの所管に関することもございます。通常国会でいろいろと御論議もありましたが、今法務大臣も答えられましたように、人権尊重の観点から私どもも努力していきたいと考えております。