nekoyama2008/08/06 20:04あなたは「20万人朝鮮人従軍慰安婦強制連行説」と名付けていますが、以下に見るようにその数は一〇万~二〇万と幅があります。そもそも私は「数十万人」と述べました。勝手に「捏造」しないでください。本題ですが、数十万人の慰安婦が強制連行されたという説が当時世間で流布していたのは事実です。単なる勘違いではありません。くだらない話題なのに、ほっておくといつまでも蒸し返されるので、面倒ですが以下に指摘しておきます。鈴木祐子『朝鮮人慰安婦』(岩波ブックレット,1991年)は、「すさまじい“慰安婦狩り”」と題して、吉田清治証言にもとづき、慰安婦の強制連行についてその無法を記した上で、以下のように続けています。「このように連れてこられた朝鮮人慰安婦の数は、さきに述べたように従軍慰安婦そのものが「軍馬」以下の「軍需物資」として扱われていましたので、今のところはっきりとはわかっていませんが、<b>少なく見積っても一〇万を下ることはない</b>だろうと思われます」(P44)文脈から強制連行された慰安婦の数を述べていることは明らかで、鈴木は、慰安婦が総数としてどれくらいかは分からないが、十万人以上の朝鮮人女性が慰安婦として強制連行された、としているわけです。どなたかが指摘するように、朝日の記事と同じく「なぜかその一部であるはずの強制連行の被害者数についてのみ触れた珍妙なもの」になっているわけで、それは偶然ではありません。世間ではそのような手法を「印象操作」と呼びます。さて、この一文の後、鈴木は続けて金一勉の著作に言及しています。金は1976年に三一書房から『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』という本を出していますが、そこには慰安婦の強制連行を朝鮮民族への抹殺政策と位置づけた上で、以下のように記しています。「この村、あの村、この郡の人々、あの郡の人々の、さらわれた娘たちを概算することは可能である。その数を<b>世称「二〇万人」</b>とみている」(P259)ちなみに金は同書のあとがきで、朝鮮人慰安婦の総数を二〇万人としていますから、そのほぼ全員が強制連行されたということになります。そのような認識は当時一般的でした。挺身隊=慰安婦=強制連行という図式だったわけで、件の朝日の記事もそれに立脚しているわけです。鈴木本について言えば、当時の高校歴史教科書の教師用指導書で、生徒用の参考書として推奨されています(『平成9・10年度版 高等学校新日本史B指導資料』桐原書店)。熱心な子であればあるほど、虚構の被害を受けてしまう悲劇です。ともあれ、ちょうど朝日が軍関与を指摘した頃には、一〇万や二〇万といった「数十万人説」があったわけで、それが教師用指導書で生徒用に推奨されていた本に堂々と載っているわけですから、「ネット右翼自身によって「左翼による捏造」として作り上げられたもの」ではないことは明らかです。
kmiura2008/08/06 20:44nekoyamaさん、はじめまして。詳細な情報、ありがとうございます。参考にします。金一勉さんの『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』(1976)がここでいう20万人強制連行説の最初の例、ということでしょうか。あと、92年前後の様子もお詳しいようなので、お聞きしたいのですが、「広義の強制はあったが狭義の強制はなかった」に相当するような発言は当時ありましたか。
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本題ですが、数十万人の慰安婦が強制連行されたという説が当時世間で流布していたのは事実です。単なる勘違いではありません。くだらない話題なのに、ほっておくといつまでも蒸し返されるので、面倒ですが以下に指摘しておきます。
鈴木祐子『朝鮮人慰安婦』(岩波ブックレット,1991年)は、「すさまじい“慰安婦狩り”」と題して、吉田清治証言にもとづき、慰安婦の強制連行についてその無法を記した上で、以下のように続けています。
「このように連れてこられた朝鮮人慰安婦の数は、さきに述べたように従軍慰安婦そのものが「軍馬」以下の「軍需物資」として扱われていましたので、今のところはっきりとはわかっていませんが、<b>少なく見積っても一〇万を下ることはない</b>だろうと思われます」(P44)
文脈から強制連行された慰安婦の数を述べていることは明らかで、鈴木は、慰安婦が総数としてどれくらいかは分からないが、十万人以上の朝鮮人女性が慰安婦として強制連行された、としているわけです。どなたかが指摘するように、朝日の記事と同じく「なぜかその一部であるはずの強制連行の被害者数についてのみ触れた珍妙なもの」になっているわけで、それは偶然ではありません。世間ではそのような手法を「印象操作」と呼びます。
さて、この一文の後、鈴木は続けて金一勉の著作に言及しています。金は1976年に三一書房から『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』という本を出していますが、そこには慰安婦の強制連行を朝鮮民族への抹殺政策と位置づけた上で、以下のように記しています。
「この村、あの村、この郡の人々、あの郡の人々の、さらわれた娘たちを概算することは可能である。その数を<b>世称「二〇万人」</b>とみている」(P259)
ちなみに金は同書のあとがきで、朝鮮人慰安婦の総数を二〇万人としていますから、そのほぼ全員が強制連行されたということになります。そのような認識は当時一般的でした。挺身隊=慰安婦=強制連行という図式だったわけで、件の朝日の記事もそれに立脚しているわけです。
鈴木本について言えば、当時の高校歴史教科書の教師用指導書で、生徒用の参考書として推奨されています(『平成9・10年度版 高等学校新日本史B指導資料』桐原書店)。熱心な子であればあるほど、虚構の被害を受けてしまう悲劇です。ともあれ、ちょうど朝日が軍関与を指摘した頃には、一〇万や二〇万といった「数十万人説」があったわけで、それが教師用指導書で生徒用に推奨されていた本に堂々と載っているわけですから、「ネット右翼自身によって「左翼による捏造」として作り上げられたもの」ではないことは明らかです。
詳細な情報、ありがとうございます。参考にします。
金一勉さんの『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』(1976)がここでいう20万人強制連行説の最初の例、ということでしょうか。あと、92年前後の様子もお詳しいようなので、お聞きしたいのですが、「広義の強制はあったが狭義の強制はなかった」に相当するような発言は当時ありましたか。