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2008-07-14

国会に出てきた『奴隷条約』 その1 国会に出てきた『奴隷条約』 その1 - Stiffmuscle@ianhu を含むブックマーク はてなブックマーク - 国会に出てきた『奴隷条約』 その1 - Stiffmuscle@ianhu 国会に出てきた『奴隷条約』 その1 - Stiffmuscle@ianhu のブックマークコメント


議員外務委員会昭和54年04月27日)*1

87-衆-外務委員会-8号 昭和54年04月27日

○寺前委員 この人権規約が出されたのが、外務大臣自身の御答弁の中にあったように、国際情勢、考え方が変わって、そして人間の基本的な人権というものが政治外交の中心になってきている、他国と同等の外交というものを進めていくということは、これが批准されていないとなかなかできにくい、したがって批准は、留保が望ましくないけれども、時間その他の関係があって恥じて内の意思統一ができなかったけれども、恥じているんだけれどもやるんだという立場、きょうも御確認させていただきましたが、そういう話がありました。これが作成されたのが一九六六年だし、発効したのが一九七六年。すでに十二年前に作成されて、二年前には発効しているのに日本が非常におくれているということは、大臣もおっしゃるようにきわめて残念でならない話です。

 そこでお伺いしたいのは、この種の人権規約というものがいろいろ国連でも出されていると思うのです。これだけではないと思うのです。ここに出されていないのでは、関連をする問題として選択議定書もあれば、そのほかいろいろあると思うのです。一体こういう人権にかかわるようなものが何条約あって、そのうちで日本の国としては何条約について締結しているのか、御説明をいただきたいと思います。


○賀陽政府委員 お答え申し上げます。

 今後批准、加入の方向で検討をし、また検討する可能性があると考えております条約が約十件ございまして、既婚婦人の国籍に関する条約、なおこれにつきましては実は女性差別条約との批判が一部にございますが、それにもかかわらず、そういう批判を十分踏まえましていろいろ検討いたす必要はあるかと存じております。

 それから婚姻の同意、最低年齢及び登録に関する条約、この点はあとは若干省略させていただきますが、御必要があればまた資料を差し上げることにいたします。

 それから、条約趣旨から、早期批准、加入が望ましく、そのため速やかに検討を進めるべきものといたしましては難民条約とその議定書があるわけでございます。

 難民条約につきましては大臣よりかつて御発言もございましたとおり、来国会の御批准をいただくために鋭意検討中でございます。この条約はすべての難民に例外なく適用されるわけでございますが、いま御批准をお願いしておりますこの人権規約も難民を含むすべての外国人に適用されるわけでございますから、まず一般的に大きな条約から、包括的な条約から御批准をお願いいたしまして、難民条約という細かな、さらにその中身を詰める条約について次に御批准をいただくということを考えておるわけでございます。

 それから人種差別撤廃条約、これも研究をいたしたいと思います。

 奴隷条約につきましては、強制労働概念が不明確でございますとか、わが国の現状において特に奴隷問題ということを把握しなければならないという必然性が必ずしも十分でないことから、検討はいたしますけれども、どういう方向になりますか、まだ方向は出てないものでございます。

 さらに、条件が整えば批准、加入の方向で検討する意義のあるものは無国籍の削減に関する条約無国籍者の地位に関する条約等でございます。

 また、当面批准または加入の条件、可能性が見出しがたいものは集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約でございまして、日本における集団殺害罪というような現実性から、これは特に緊急のものとは考えておらないわけでございます。

 それから、ただいま御指摘のありました戦争犯罪及び人道に対する罪に対する時効不適用に関する条約、これは御指摘もございましたので、憲法との関連等を踏まえて検討させていただきたいと思います。


参議員外務委員会昭和54年05月28日

87-参-外務委員会-13号 昭和54年05月28日

○立木洋君 先日、外務省の方からいただいた資料で、国連が中心になって作成した人権に関する条約、今回のA規約、B規約、これを批准するといたしますと、人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約と婦人の参政権に関する条約、合わせて四つの条約に加入、批准しておるということで、あと十四残るということになるわけですが、これらの人権に関する条約について、今後、どういう方向で対応していかれるのか、局長の方から御説明いただきたいと思います。


政府委員(賀陽治憲君) 御指摘のいろいろな人権関係条約を今後どうするかという点でございますが、まず第一に難民条約、これは外務大臣からも御表明がございましたように、難民につきましては、この人権規約も適用されるわけでございます。最も包括的な人権規約をまず御承認をいただきまして、次には、この難民が入ってまいりました後のステータスあるいは条件その他について事細かく規定をいたします難民条約――実は、入国関係は難民条約は取り扱っておりませんことが必ずしも巷間理解されておらぬようなところもございまするけれども、難民が入ってきた後の万全を期するという、そういう条約でございますが、これにつきましては、来国会に御批准を賜るべく鋭意検討をさしていただいておる次第でございます。

 その他、数多くの人権関係条約があるわけでございまするが、当面は、そういうことで、このほか十件ほど今後加入の方向で検討する条約既婚婦人の国籍に関する条約というものもございますし、あるいは婚姻の同意、最低年齢及び登録に関する条約、そういったものもございます。それから奴隷条約人種差別撤廃条約人種差別撤廃条約についてはさらに検討すべきと、奴隷条約につきましては、強制労働概念が不明確でございますとか、わが国の現状において特に奴隷問題を把握しなければならない緊要性がないというような点、そういった点から必ずしも必然性を感じておりませんけれども、それから集団的殺害罪というような集団殺害犯罪の防止、処罰に関する条約等につきましても、日本現実性から言って非常に緊要性が高いということが言えないものもあるわけでございまするけれども、さらには無国籍者の削減に関する条約とか無国籍者の地位に関する条約とかいろいろございますので、これにつきましても整理をして検討しておりまするが、漸次、御批准をいただく方向で検討させていただきます。


○立木洋君 いまお述べになった中で、戦争犯罪及び人道に対する罪に対する時効不適用に関する条約というのは局長は触れられなかったわけですが、これは一九六八年国連で採択されたときには日本政府棄権したわけですよね。その棄権したときの経過といいますか、そのときの政府としての考え方、どういう考え方から棄権されたのか、それをちょっと御説明いただきたいんですけれども。


政府委員(賀陽治憲君) これは時効の不適用の問題でございまするが、一番の問題点はやはり遡及効の遡及処罰という観念を取り上げてみますると、憲法の三十九条精神に反するという疑いがございますので、さらには犯罪構成要件の定義が明確でないということもございまするけれども、そういった点で憲法との関連を考えまする場合に、この条約を直ちに前向きに考えることが必然的であるかどうかという点については若干の疑義を持つものでございますが、これは、先般来、衆議院でも寺前委員から御指摘もございましたし、ただいまは立木委員からも御指摘がございましたので、この点はもう一度検討さしていただきます。


○立木洋君 基本的な人権は、もう私がここで言うまでもなく、平和というものが前提になって本当に人権が守られる、こういうことになるわけですし、そもそも今度のこの時効不適用条約というのが、長年にわたって戦争犯罪を国際政治から一掃する、そういうような国際世論の結実に基づいてつくられた条約であるということも言われておるわけですし、それから、わが国の憲法自身が平和憲法というふうに言われていますように、戦争に反対をし、再びああいう事態を繰り返さないという精神から出てきているものですから、この点は積極的に私は考えていただく必要があるんじゃないかと思うんです。

 いま局長が遡及処罰の問題で憲法との関連で言及されましたけれども、しかし、時効不適用の条約自体が前文で、戦争犯罪こそは国際法における最も重大な犯罪であるということを強調しているわけですし、したがって事後法時効の適用を除外することは戦争犯罪に限っては当然であるとみなすべきだというふうに私も考えるわけです。

 大体、当初、これが採択される一年前ですか、政府は、これに賛成されておった経緯があるんですね。採択される一年前一九六七年のときには、国連の第三委員会で、日本政府の代表は、わが国としては例外的に戦争犯罪、きわめて非人道的な残虐な犯罪について時効制度の適用除外を考慮することは可能であると考えるというふうに日本政府の代表が発言していたわけですが、それがどうしてこういうふうになってきたのか、その辺の経緯ももう少し御説明いただきたいと思うんです。


政府委員(賀陽治憲君) この点は、立木委員が御指摘のように棄権をしておるわけでございますし、当時出席した者が考え方としてはやはり仰せのような方向で考えておったことがあると思うのですけれども、その後、手続的な問題を中心といたしまして、そういう精神論と手続面との調整という問題に直面せざるを得なかったということだと思いますので、ただ、これは何も遡及罪問題におきまする憲法論ということだけで判断すべきものとも思えませんので、ひとつ総合的に判断させていただきたいと思います。


○立木洋君 さっき憲法の三十九条ですか、その事項だけを取り上げて言及されたので、私はやっぱりもっと総合的に憲法精神その他からも、日本政府がとってきた態度の経緯もあるわけですから、十分に検討していただきたいということを重ねて御要望しておきたいと思うんです。

 それからさらに、いままでも衆議院等々でも問題になり、また当委員会でもあったわけですが、B規約の第二十条の問題について、政府は、ここでは法律によって禁止しなければならない、戦争のためのいかなる宣伝も法律によって禁止しなければならない。この点に関しては、先日も、局長は、五分ぐらい何か街頭で演説しているのがこれが戦争宣伝であると言って直ちに処罰するのもどうかと思いますというふうな言い方をなさっておられましたけれども、もちろん、ちょっと問題が起こればすぐ処罰するというふうなことが本来の精神ではなくて、しかし、事態は、ここで言われておる「戦争のためのいかなる宣伝」つまり戦争という問題がきわめて重視されなければならないということがあるわけですし、ここで日本政府としても、こういうB規約、これを批准し、これを公布するということになれば国内的に効力を持つわけですから、ですから、そういう意味で言えば、施行法的なものを考えるだとか、いうふうなことも検討されてはいかがだろうかと思うのですけれども、平和という問題に関する、つまり戦争犯罪戦争を何としてもとどめなければならないということの重大性から考えて、この問題についてもどういうお考えなのか、一言お答えいただきたいと思います。


政府委員(賀陽治憲君) 二十条でございまするけれども、これはかなりいろいろな国が留保をしておりまして、相当問題点になった項目であることは御指摘のとおりでございますが、現状においては、わが国としては、これについて特段の禁止を定めなければならないというふうには考えておりません。

 ただ、将来の問題として、世界の変転に伴いまして、現在のような憲法九条精神が浸透しておる社会におきましては即時的な必要性を感じておりませんけれども、社会の変遷は必ずしも予断を許さないということであれば、これは将来においてはそういう法益侵害の実態を把握しながら新しく立法を考える。特に、立木委員の御指摘のように、日本は、何と申しますか、セルフエグゼキュトリという言葉を使っておるようでございますが、条約の国内的効力を国内法をもってして初めて担保し得る、こういう法制度でございますから、単に人権規約だけで精神論としてこれを振りかざすわけにもまいらない。したがって、これは本当に社会の変遷に従って必要な場合には国内法を要するということになりますので、その段階ではやはり立法を考えるということがあるのではないかと思いますが、現状では、私が三分間とか五分間ということを申し上げたのは比喩の話でございまして、三十秒間戦争宣伝のスピーカーの放送が行われて直ちにこれを犯罪構成要件とすることの問題点は、これは比喩的には私やはり言えるのではないか、これは表現の自由との関連で慎重を要するのではないかと考えておる次第でございます。


○立木洋君 もちろん表現の自由との関連もありましょうし、それから問題はそのような状況になってからというその判断ですね、この点が非常に私は大切だと思うんですよ。というのは、事態が起こってしまったら実際遅いわけで、問題は、そういうことにならないようにやっぱりどうしていくかということが私は人権を守る上で大切なことだと思うんですね。だから現実にそういう事態が起こって、さあこれは大変になったからといって、その時点で考えましょうということではすでに遅いわけで、いままでの歴史というのは、戦争が起こる状態というのはもう私よりも局長の方が先輩ですから十分おわかりでしょうから言いませんけれども、そういうような事態になったら遅いわけですから、私は、この問題についてもやはり禁止するという方向もありますけれども、前向きにどういうふうにやってこの精神を生かしていくかという観点からの取り上げ方というのもあり得るんではないかと思うんですよ。そういう点もあわせて積極的に御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。


政府委員(賀陽治憲君) これは立木委員の御指摘でございまして、私も拝承して、そういう余り固定的な固陋な考え方にはとらわれないで対処すべきではないかと思っておりますけれども。


○立木洋君 先ほどちょっとお触れになりました集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約ですか、これはすでに八十四カ国が加盟して、このときは条約作成の会議には日本はまだ参加していなかった状況のもとでつくられた条約ですけれども、これは先ほどの御説明では緊要性が余り高くないのでと言って、その後言葉をちょっと濁されたんですが、これはどういうふうに対応されるというお考えでしょうか。


政府委員(賀陽治憲君) 立木委員から関連条約を列挙するようにという御要望でございましたので申し上げたんでございまするけれども、このジェノサイドの集団殺害犯罪条約の要求しておりまする犯罪としてみなさねばならない行為が何であるかという点につきましては、これが非常に広範かつ不明確であるという点から見まして、ざらには、わが国の実情にかんがみれば、集団殺害犯罪を設ける実態的必要性がやはり乏しいと言わざるを得ないということから加入をしておらないわけでございますが、現在の段階では、直ちにはやはりこの締約国となる必要性は乏しいと考えておる状況でございます。


○立木洋君 私は、これらについての考え方も若干述べさしておいていただきたいんですけれども、問題は、緊要性が高いか高くないかということは一つの判断の要素だろうと思うんですよ。ただし、八十四カ国がすべて緊要性があると考えて参加しているんだろうかどうだろうか。すべてこれらの国々が、つまりジェノサイド云々が問題になり得るという緊要性から八十四カ国すべてが加入しているとは考えられない。しかし、少なくとも日本政府の場合も、こういうものにはわれわれとしては反対である、当然、こういうものは防止し処罰をしなければならないんだ、こういうことがあってはならない時代だという日本の態度を明確にする、対外的にも。そういう意味から私は非常に重要意味を持つだろうと思うんですよ。だから、そういう緊要性といいますか、そういう点だけではなくして、この問題についても日本政府の今後の外交姿勢のあり方、人権に対して基本的に日本政府としてはどういう態度をとっていくんだということを明確にする上においても、ぜひとも積極的に御検討いただきたいと思うんですが、これもいかがでしょうか。


政府委員(賀陽治憲君) 非常な即時的な緊要性があるかどうかにつきましてはすでに申し上げたとおりでございまするけれども、人権関係の諸条約というものについて、これを等閑視するというわけにはまいりませんので、もちろんわれわれとしては検討は進めてまいるわけでございます。

*1:以下、強調は引用

kmiurakmiura2008/08/25 23:37昭和54年以来検討中ってのもなんだか。言葉どうり”慎重”なんだろうけど、ひどいものだ。今いろいろ見ていたんだけど政府委員の賀陽治憲さんって皇族らしい。

StiffmuscleStiffmuscle2008/08/26 13:43比人治安維持者から「パナイ」島大日本軍 指揮官各位へ宛てた1941年1月27日付の書翰にこういう記述があります。
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平和幸福に生活する吾か無抵抗なる民衆に対し此れ以上貴軍人の残虐行為中止を要求する。我[が]土地にには罪を正当に裁く法庭(ママ)あり、貴兵士の手で法を裁くな、其れは裁判権を横奪し比島共和政府を人形以上の立場にする誠に憂慮すべき行為なり。

『昭和19年度 イロイロ憲兵分隊書類綴』(比島防衛 533)

(戦地性暴力を調査する会 編『資料集 日本軍にみる性管理と暴力-フィリピン1941~45年』梨の木舎、2008年、240ページ)
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このフィリピンの方は至極まともな法感覚を持っています。
それに反し、加賀氏の答弁は、法や科学の知見(例、横田めぐみさんの遺骨鑑定)を正義の遍き実現のために使うのではなく、自己正当化のために恣意的に使う感覚が如実にあらわれているように感じます。こういう法感覚や科学への認識が通用している社会では、法や科学は政治の道具にしか過ぎなくなってしまう。
そういう輩はどの国にもいるわけですけど、国のトップが国会の場で公然とやっているわけで、しかも本人たちはそれが当たり前だと信じて疑わない節がある。こういうところも国際社会と日本が齟齬を来たす要因のひとつではないかと思ったりしました。

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