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nagaikazu
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Re:議論の発端
この発言は、bbs:7:28でおこなった次の2点についての調査報告の続きです。それまでの議論の流れを知りたい方は、bbs:7:10からスレッドをたどってください。
調査すべきことがら
A.日本軍は南方(とくにビルマ)において現地通貨の回収をおこなったのか。
B.軍票および南発券と現地通貨との間に等価でない交換レートが設定され、そのレートはだんだんと現地通貨に不利になっていたのか。
私が参照した文献。
1.日本銀行調査局編『図録 日本の貨幣10 外地通貨の発行(1)』東洋経済新報社、1974年
2.日本銀行調査局編『日本金融史史料 昭和編』第27巻、大蔵省印刷局、1970年
この中の第4章対外金融
3.日本銀行調査局編『日本金融史史料 昭和編』第30巻、大蔵省印刷局、1971年
これにおさめられた日本銀行調査資料のうち
「南方占領地経済対策ノ現状ニ就テ」日本銀行昭和18年10月15日
「南方ニ於ケルインフレーションノ問題」日本銀行昭和18年12月9日
4.太田常蔵『ビルマにおける日本軍政史の研究』吉川弘文館、1967年
5.岩武照彦『南方軍政下の経済施策』上巻、汲古書院、1981年、復刻版1995年
6.岩武照彦『南方軍政論集』厳南堂書店、1989年
第4章「太平洋戦争期の外貨軍票および南方開発金庫券」
bbs:7:28では、主にAについて考察しました。上記文献の示すところによれば、ニューブリテン島を例外として、南方占領地において軍票または南発券による現地通貨の回収がおこなわれたと明記しているものはないということです。
次ぎにBに関してですが、文献5に紹介されている当時南方軍軍政監部の司政官が書いた論文の記述から、昭和18年12月の時点で、「現地通貨は軍票と等価」という南方各軍の布告はまだ有効であったことがわかりました。つまり、占領後約2年近くたっても、日本軍は現地通貨の切り下げをおこなっていなかったのです。
また、その論文から少なくともマレーやシンガポールでは現地住民は、軍票よりも現地通貨により価値を感じており、退蔵されていたこともわかりました。
このBについて、もう少し補っておきなっておきます。
文献2の「戦時金融統制の展開」は日本銀行が昭和18年4月に刊行した調査資料ですが、その中に、昭和18年2月に日本陸軍が公表した南方通貨政策の方針についての談話が引用されています。
「南方占領地に於ける使用通貨は目下軍票在来通貨二本建てとし、両者の価値関係は等価として維持している。現地における軍票は現地民の絶対の信頼を基礎として円滑に流通を見、在来通貨も亦其の価値を軍票に比し故意に低下せしむるが如き措置を採らざる為、両者の価値関係は等価として順調に流通せられ通貨工作上顧慮すべき所無き状況である」(468頁)
つまり、日本陸軍は、南方占領地では軍票と在来通貨(現地通貨)がともに流通しており、両者は等価であって、軍票に対する在来通貨の価値を切り下げることはしていないと述べているわけです。
また、文献3の「南方占領地経済対策ノ現状ニ就テ」日本銀行昭和18年10月15日
にも、以下のような記述があります(原文はカタカナ表記ですが、読みやすくするため、ひらかなに換えました)。
「南方占領地に於ける在来通貨に付いては(略)、其の流通が認められ、現地通貨表示軍票は之と等価にて円滑に流通して居れるが、一部陸軍地区に於いては敵側の謀略宣伝、偽造軍票の出現等の為め、軍票よりも在来通貨が歓迎され、又一部海軍地区に於ては現地住民が賃金支払いとして軍票よりも米・マッチ・綿布等に依る現物支払を希望する向きありと言われる。」(350頁)
之も同様で、昭和18年秋の時点では、在来通貨と軍票は等価であったこと、および一部では軍票よりも在来通貨あるいは現品支払いを求める地域があったことが、わかります。
さらに文献4(著者の太田氏は昭和17年から18年にかけてビルマで民族調査に従事した経験があり、ビルマ軍政監部に勤務していた経験をもつ方です)にはこう記されています。
軍進駐以来軍票の人気良好にして、いちはやく社会的信認を得て市場等においても在来紙幣を圧倒して使用されるようになったが、在来紙幣との間に打歩を生ずるまでに至らず、また日本勢力の強弱によって時期的にも地域的にも軍票価値の大小があった。」(174頁)
ビルマでは、軍票は広く受け入れられたと太田氏は述べていますが、それでも在来通貨との間で、軍票にプレミアがつくほどではなかったと言っています。この記述からは、在来通貨の対軍票価値が下落したとは思えません。
以上から、Bについても、答えは否定的と言わざるをえません。
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8Re:議論の発端
nagaikazu
2007/06/04 18:46:57
この発言は、bbs:7:28でおこなった次の2点についての調査報告の続きです。それまでの議論の流れを知りたい方は、bbs:7:10からスレッドをたどってください。 調査すべきことがら A ...- ├
10軍票および南発券と現地通貨との間に等価でない交換レートが設定され、そのレートはだんだんと現地通貨に不利になっていたのか。
lunakko
2007/06/04 20:31:37
追記:一部修正 B.軍票および南発券と現地通貨との間に等価でない交換レートが設定され、そのレートはだんだんと現地通貨に不利になっていたのか。 永井教授、詳しいご説明ありがとうございました。 ... - └
17Re:Re:議論の発端
lunakko
2007/06/06 09:53:41
調査すべきことがら A.日本軍は南方(とくにビルマ)において現地通貨の回収をおこなったのか。 (中略) bbs:7:28では、主にAについて考察しました。上記文献の示すところによれば、ニ ...
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10軍票および南発券と現地通貨との間に等価でない交換レートが設定され、そのレートはだんだんと現地通貨に不利になっていたのか。
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