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14nagaikazunagaikazu   12  Re:Re:Re:控訴棄却の理由(使用者責任の認定)

yubiwa_2007さん、ご教示ありがとうございます。

お礼を申し上げるのが遅れましたことをお詫びします。

 私は法学にはうといもので、ebizohさんとの議論があのまま続いていたら、どうしようかと思っていたくらいですので、ご教示には感謝しています。

 上告の争点が「国家無答責の原則」に関するものではなかったので、たしかに最高裁ではこの問題についての直接の判断は下していないとみるべきなのでしょうが、しかし高裁判決のこの部分は最高裁判決でもとくにコメントなしに引用されていますし、最高裁としては高裁の判断は妥当だとみなしていると考えていいのではないでしょうか。

 ともかく、この事件に対する高裁最高裁の判断で興味深いのは、「日本軍が女性を拉致して「性奴隷」としても、それは一部の兵士のしわざで、日本軍が組織としてやったのではない。だから日本政府に責任はない」という主張に対して、末端の部隊がおこなった不法行為であっても、日本政府には民法上の「使用者責任がある」と認定したことだと思われます。

 なお、高裁の判断では

 従って、日本国憲法制定以前の国の不法行為について国家無答責の原則が適用され免責されるという一般論そのものは否定されていないので、この控訴審判決の論理だと、前線の兵士が勝手に作ったものではない、例えば「漢口慰安所」などだと「戦争行為・作戦活動自体又はこれに付随する行為」だとして国家責任が否定されることになりえます。

とのご指摘ですが、しかしそうであれば、軍の命令によって慰安婦の強制連行がおこなわれた場合には(というかその場合にのみ)、「国家無答責の原則」が適用され、国には責任がないことになります。秦氏や池田氏は、「軍の命令によって強制的に慰安婦が徴募された場合にのみ、国に責任が生じるのであり、そうでない場合には国に法的責任はない」と主張されていますが、高裁の判断では逆で、「国が責任を免れるのは、軍の命令によって強制連行を行った場合だけだ」ということになります。

 もっとも、上記の関連が成り立つには、軍慰安所が軍の組織の一部であり、軍慰安所の経営や慰安婦の募集を直接担当したのは、軍から業務を委託された業者であったという事実認識がかかせませんが。

返信2007/05/12 09:08:15