裁判から見えてくるもの RSSフィード
 

| 日記一覧 | 掲示板 | トピックツリー | キーワード | About |

7nagaikazunagaikazu   5  Re:控訴棄却の理由(使用者責任の認定)

 最高裁判所判決を読んでみました。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070427165434.pdf

 第1事案の概要の4(1)に、次のように書かれてありました。

「4 原審は、次のとおり判断して、上告人らの請求をいずれも棄却すべきものとした。

(1)中華民国の当時の民法によれば、被上告人は、前記認定に係る加害行為につき、使用者責任としての慰謝料の支払義務を負ったと認められる。また、日本法上の不法行為責任についてみるに、国の公権力の行使に関してはいわゆる国家無答責の原則が妥当するが、上記加害行為は、戦争行為、作戦活動自体又はこれに付随する行為とはいえず、国の公権力の行使に当たるとは認められないから、国家無答責の原則は妥当せず、被上告人は、民法第715条1項に基づく損害賠償責任を負う。」

 つまり、第2審の高裁は、この事案は「国家無答責の原則」に該当しないとみなし、それゆえ民法第715条の使用者責任により、日本国には損害賠償責任があると判断したわけです。ついでにいえば、民法第715条第1項には、但し書きがあって、「ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない」と、使用者責任が解除される条件も規定されていますが、高裁はこの事案の場合この但し書きが適用できるとは判断しなかったようです。

 このように高裁日本国には、日中双方の民法からして損害賠償責任があると認定したうえで、国際条約により戦時賠償についてすべての請求権がすでに放棄されているとして、原告の請求を棄却する判決を下したわけです。

 この判決の論理構造は、今回の最高裁判決でも維持されています。異なるのは、請求権の放棄の条約上の根拠を日華平和条約から日中共同声明に移し替えた点です。

 

 よって、日本の裁判所は、この事案に関しては、「国家無答責の原則」は適用できないとの判断をくだしたわけであり、日本国には使用者責任に基づく損害賠償責任があると認定していることになります。

 ebizohさんの主張のかなりの部分が、日本の裁判所によって否定されているとみてよいでしょう。

返信2007/04/28 23:55:00